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気の向くままに、イメージのままに、曲を聴きながら、携帯で書いたりしたものとか。 玉砕は覚悟のうち。
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太陽があって、
月がある。

光があって、
闇がある。

逆も然り。と決まりごと


月に吠える黒い狐、
太陽に歌う白い狐

回る陰陽の掟。


***

紅い月には気を付けよ。
闇が従えた夜の民。

太陽のものたちは囚われてしまう。
全て奪われ、朱に散る。

***

蒼い太陽を染めあげよ。
光の民を喰らい尽せ。

月のものたちはもくろむ。
『力』を我が手に。
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どこでもあって、どこでもない。
幾億の人間達の小さな世界が作り上げた大きな世界を包み込むように枝葉を広げた世界樹が存在する所。

その集合体に古い雰囲気の洋館が佇む世界が小さく一つ。
まるで中世の建物をそのまま移してきたような洋館に、庭園が広がる綺麗でのどかな空間。
そんな洋館のある部屋でシルクハットをやや目深に被った少年がピアノの前に座っていた。
指先が奏でる曲はどこか寂しい音を響かせ空気に溶ける。

「屡季。」
不意に彼を誰かが呼んだ。
屡季と呼ばれた少年がくるりと声のした方を向くと、青を基調とした服を身に纏った少女―蒼星石が立っていた。
「どうしたのですか?」
怪訝そうに屡季は聞く。
「君が何の為に戦っているのか聞きに来たんだ。」
姉妹同士が刃を交える『宿命』という名前の戦い、アリスゲーム。
屡季にアリスの資格は無い。けれども彼は戦っている。
蒼星石も何度か危ない所を助けてもらっていた。
そして、それ故に持つ疑問点。

「……失うのが、嫌だから。」
屡季はやや間を置いて問掛けに答えた。
「屡季は翠星石と同じ考えなのかい?」
「どうでしょうね。……唯、両手に抱えられるものは限られていて段々とその抱えているものを落としてしまいます。ボクはそれを全部抱えたままでいたいのかもしれません。」
屡季は苦笑いを溢したが帽子に隠れて目の表情まで窺い知ることはできなかった。
「そうやって抱えるから、自分のことを棚の上にあげてしまう。」
「では、逆も然りですね。」
屡季がそう返した。
「そうだね。」
蒼星石は微笑を溢す。

―僕もある意味同じなのかもしれない。

「でも、貴女のことは皆…主に翠星石が心配されてるみたいなので、無茶はしないほうがいいと思いますよ?」
「屡季が言うと説得力に欠けるね。」
「ボクは…いいんですよ。」

―何より大切なものを両手から落としてしまったのだから。

「さて、」
屡季は立ち上がった。
蒼星石は怪訝そうに屡季を見る。

「お茶にしましょうか。」
微笑を浮かべて彼が言った。




彼女はつくづく月が似合うと思う。

円香はぼんやりとそう考えていた。
朧月館にいたときも、よく思った記憶がある。

そう思われている当の本人は床に横たわって眠っている。
ちょうど月明かりが窓からさしこむ位置なので、光が彼女の薄目の色素を持つ髪に当たって別の色に見える。
あのときと同じで円香はくすりと笑った。

しかしながら、夢見心地はよくないみたいで先ほどからうなされている。
円香にはそれをどうすることもできなくて、ただ側にいることしかできなかった。

「……、消えた……」

時折のうわ言。
眉間にしわがよる。

「祐、」
円香が心配そうに名前を呼ぶが、答えはない。

「……傷付ける、…」

辛そうに声をあげる。
その一言に、円香はあることを思い出した。



亜夜子ちゃんがいつもみたいに鋏を振り回して、高笑いしながら私に近付いてきた時に
「何を、している?」
たまたまここに入院することになっていた彼女が間に入ってくれた。
私は傷付かなくて済んだ。
だけど、彼女のつけていた眼帯はまっぷたつになり、その皮膚も切れて血がでていた。

「邪魔しないでよ。」
亜夜子ちゃんが怒った顔で言ったが、
「ふふっ…、綺麗な色。」
少しずつ滲み始めた赤い滴を見つめて亜夜子ちゃんは、にやり。と不気味に笑う。

何かを聞き付けてばたばた走ってきた看護婦さんたちが亜夜子ちゃんを叱る。
鋏を取り上げられて不機嫌な顔した亜夜子ちゃんが渋々去っていく。

「怪我は?」
怪我してるのは自分だというのに。
ぶるぶると小動物みたいに震える私に聞いた。
私が首を左右に振ると、よかった。と笑う。
なんだかしばらく笑ってない人が笑ったようなぎこちない感じだった。

「ごめんなさい。」
「?」
彼女は首を傾げる。
わかっていない。
「その……」
円香が指差した先を辿ってまっぷたつの眼帯を見つけた彼女は目に手を当てて初めてそれに気が付いたらしい。
「あぁ、気にしなくていい。」
「でも……」
「慣れてるから、大丈夫。」
不思議だった。
何故慣れているのか。
「?」
首を傾げていると、ガーゼとか消毒液を持った椿さんが現れた。
「円香ちゃん、怪我してない?」
やさしい口調の椿さんの問いに私は首を振った。
「だいじょうぶ」
「そう、よかった。」
椿さんは笑って頭を撫でてくれて、彼女の方に行く。
「目を開けてくれる?」
それに彼女は大分躊躇っているようでなかなか言うことを聞かなかった。
「目も怪我してたら、これじゃ手当てできないから。ね?」
椿さんがそう言うと、仕方なく、という風に彼女は目を開いた。
何故躊躇っていたのか、すぐに理解した。

彼女の、目。

眼帯がつけられていた方の目はもう片方と違った色をたたえていた。

今までそれで何かあったのかもしれない。

「よかった、目は怪我してないみたい。……眼帯取ってくるわ。」
安堵の表情をした椿さんは新しい眼帯を取りにぱたぱたとその場を後にした。
彼女はきょとんとした表情で椿さんを目で追っていた。
「変でしょ?……昔からなんだ。」
自潮したように彼女は私に言う。
「……そんなことないよ。わたし、きれいだとおもうよ、め。」
本当に、そう思った。
「初めて言われた。」
また、ぎこちなく笑った。

眼帯を持った椿さんが帰ってきて彼女につけてあげる。

「円香っ!」
海咲もいた。
椿さんに聞いてきたみたい。
「けがは?何もされなかった?」
「う、うん。わたしはだいじょうぶだよ。」
そういうと海咲は安心したらしい。
亜夜子ちゃんにぶつぶつ文句を言っていた。

そのまま海咲に手を引かれて、振り返ったら彼女は小さく手を振ってくれた。



「う……」
回想に耽っていた円香をその小さい声が引き戻す。
ぼんやり開いた目が円香のそれとあった。
「嫌な夢でも見たの?」
うなされていた。と告げると、いつもなら"うん。"だけで済ましてしまうのに、今日はなんだか違っていた。
「遠い夢。」
「遠い?」
「そう。…女の子が二人、村に迷いこんでしまって、なんとか脱出できたけど、もしかしたら傷付けてしまうかもしれない、だからその射影機で写せ、って最後には言う。
……もう、何度目かな。」
簡略された説明に募る疑問。
「何度も見てるの?」
その問いに彼女は首を縦に振った。
「これだけを、じゃないけどね。」
そう言ったあとに眼帯を触った。今、表情には出ていないけど到底自分にはわからないものだと感じた。
「まだ、嫌い?」
「少し。けど、円香が好きだと言ってくれたから、前ほど嫌いではないよ。」
円香は彼女の顔に手を伸ばしてするり、と眼帯を外す。

薄く傷の残った瞼の奥にある目がたたえる色は昔と変わらない。

「大丈夫。大丈夫だから。」
呟いた言葉は彼女の癖。
きっと傷跡のことを気にしたのかもしれない。
そうじゃないかもしれない。
けれど、どちらにしろ
「そうやって、すぐに隠す」
「?」
ぶすくれて言ったが、祐は何が?と言う風でやっぱり無意識。
「辛いことも苦しいこともみんな隠しちゃう。」
「……。」
「それなのに、いろいろとお見通しなんだもん。」
円香もわかりたかった。
彼女のくすぶる気持ちを。
少しでも、笑っていられるように。
「……じゃあ、もう少ししたら、言う。…どこから説明したらいいかわからない。」
彼女は言葉にするのがあまりうまくないのも変わらなくて。
「うん、待ってる。」

仰向けの彼女の頭を撫でていると、眠くなってきたのか、目をごしごしとこする。
「眠い?」
頷いた彼女を床よりもベッドのほうがいいだろうと強制的に動かした。
また頭を撫でると祐は私の袖を掴んだ。
「…一人、怖い。」
「うん、傍にいるよ。」


おやすみ、
※ネタバレを含んでいるため、ご了承ください。










少女が夢としたあの日。

宿る旧文明の民が語った真実は、それを無惨にも打ち砕く。

***

「海底レリクスで起こった事は、全て現実のことなのです。」
重々しく、ミカは言う。
肯定した事実を否定する現実。
「じゃあ……じゃあ、ルイはあの時本当に死んじゃってたの?」
エミリアは信じられない、という感じで聞いた。
「本当です。彼は自律起動兵器に体を砕かれ、一度は完全なる死を迎えました。」
「うそよっ!!……じゃあ、どうしてルイは目の前にいるの…」
エミリアは事実を受け入れたくないらしい。
当たり前である、自分のために誰かが死んだということはエミリアにとって受け入れがたい事だから。
「私のプログラムで彼の体を再構築しています。だから、私の姿を彼も認識出来るのです、」
ミカがそう言うと、エミリアはルイの方を向いた。
「どうして…?どうして助けたりしたの?……赤の他人だよ?」
泣きそうな声で、エミリアが聞いた。
「何か出来たかもしれないのに、何もしなかったら絶対後悔すると思ったから。」
「でも、あたしなんかをかばってあんたは死んじゃったんだよ?」
「そうだけど、その時、エミリアが強く願ってくれてミカがプログラムを注入してくれて、今ここにいる。」
ルイが言うこともまた事実。
「うー…」
「"生きてる"から、大丈夫。」
ルイがそういうと、
「……もう、あんたはきゅーきょくのお人好しすぎ!」
エミリアは腰に手を当て、いつものポーズ。

それを見てルイは少し笑った。
「あ、ちょっと、何笑ってんのよ。」
ぶー。とぶすくれたエミリアも次には笑った。

なんだろうか、複雑で。

全部、全部混ざって。
何もかも。

いっそバラバラにして、きれいなとこだけすくい上げようか。

おかしいのはずっと。
壊れてきたのは最近。

きっと、わからなくなっても世界は回るんだ。
誰も、何も思わないように溶けてしまえたら。

汚いものがぐるぐると二重螺旋に絡みつく。
深く深くしみこんで。

訳がわからない。
理解できない。
説明すらできないのだからたちが悪い。

もう、いいんだ。


頭のどこかに写る。
ナイフで切り裂かれる映像。
あれは嘘なのに、どうもリアルすぎて。


(おかしいのなら、そういってくれ)




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楽な方向に流れやすい。
勉強は嫌い。
音楽を聴いてる事や寝てたりゲームしたりする事に幸せを感じている。

連載は挫折しやすい事を知り、短編をざかざかと書こうと決め、チマチマ更新予定。
リア友に教えちゃったから、あんまり変なのは載せないようにしてる。
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